カメラのレンズに関係する「焦点距離」と「画角」って何?

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基礎知識 —

こんにちは!ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。

カメラのレンズを比較する際、どのサイトにも必ず出てくるのが「焦点距離」や「画角」。
実際に調べてみたものの「何となく大切なのは分かるけど、何が違ってどんな特徴があるかまで読むのが面倒くさい…」となることって多いですよね。

そこで今回の記事では、ネットワークカメラのレンズに関わる「焦点距離」と「画角」について、できるだけ分かりやすく解説していきます。
それぞれの意味や役割を理解して、使用用途にピッタリのネットワークカメラを見つけてくださいね!

ネットワークカメラの焦点距離と画角とは?

 

「焦点距離」と「画角」それぞれの意味と関係について

それでは早速、「焦点距離」と「画角」について解説していきます。
それぞれの意味と関係性を知ることで「標準レンズ」や「広角レンズ」、「望遠レンズ」などの違いも分かるようになりますよ!

焦点距離とは?

レンズの画像

焦点距離とは、被写体にピントを合わせた際の
「レンズの中心」から「イメージセンサー(撮像素子)と呼ばれる画面」までの距離のことです。

この焦点距離は、ネットワークカメラのレンズによって数値が異なっており「28mm」や「50mm」、「100mm」のようにmm(ミリ)単位の数字によって表されます。
また、レンズによっては「18mm‐55mm」のように焦点距離を変更できるものもあり、そういったレンズのことをズームレンズと呼びます。

そんな焦点距離ですが、どうして重要だと言われているのでしょうか?

その答えは「焦点距離によって撮れる映像の範囲が変わってくるから」なのです。

簡単に言えば
「焦点距離が短いほど広い範囲を写すこと」ができ、
「長いほど遠くの被写体を大きく写すこと」ができます。
つまり、撮影できる範囲を決めるのが焦点距離なのです。

ちなみに、焦点距離は「50mmを基準」としていて、このレンズを「標準レンズ」と呼びます。
この基準値よりも大きい焦点距離のレンズ(100mm、200mm、400mmなど)を「望遠レンズ」
基準値よりも小さいレンズ(10mm、16㎜、24mmなど)を「広角レンズ」と呼んでいるのです。

※「イメージセンサー(撮像素子)」についての詳細は、下記の記事からご覧ください!

「撮像素子とは?役割と要素の詳細について説明します!」

 

画角とは?

両手の親指と人差し指で画角を作る

画角とは「画面に写る範囲の広さ」​を角度で表したものです。
角度が広がると広角に広い範囲を映し出し、狭まるとより望遠に狭い範囲を映し出します。

ここで、画角を簡単に理解できる例をお話します!

みなさんは、絵を描くときなどに「両手の親指と人差し指で四角い枠を作って、前後に動かしながら描く範囲を決める」といった作業をした経験はないでしょうか?
実際にやってみると分かりますが、指で作った枠に被写体を収めた状態で前後に動かすと、枠内に写り込む被写体の範囲が変わりますよね。
枠を被写体に近づけると被写体が枠内に大きく写り込み、枠を被写体から遠ざけると被写体は小さく、背景などが広範囲で写り込むようになります。

この枠内に写る範囲が「画角」なのです!
つまり、画角は「撮影できる範囲を決める大事な要素」と言えるでしょう。

一般的には、画角が45度のものが「標準レンズ」と呼ばれており、それより広いものが「広角レンズ」。狭いものが「望遠レンズ」と呼ばれています。
そのため、より広範囲の映像を撮りたい方は広角レンズを。より遠くの映像を撮りたい方は望遠レンズがおすすめです。

焦点距離と画角の関係

ネットワークカメラで室内の様子を撮影

さて、ここまで「焦点距離とは?」「画角とは?」を読んだ方は、何かに気づいたかもしれません。

そうです。焦点距離と画角は「映像の範囲を決めている」という点で、どちらも同じ役割をはたしているのです!
そして、焦点距離の長さによって変わる映像の範囲が「画角」と呼ばれています。

つまり、「焦点距離と画角は2つで1つのセット」なので、とても覚えやすいのです!

これまで解説してきた、焦点距離と画角の特徴をおさらいしましょう。

  • 指で作った枠=レンズ
  • 目=イメージセンサー
  • 指で作った枠と目までの距離=焦点距離

と考えてみると

  • 指で作った枠と目までの距離が短い=焦点距離が短いので広い範囲が写る(画角が大きい)
  • 指で作った枠と目までの距離が長い=焦点距離が長いので狭い範囲で被写体が大きく写る(画角が小さい)

ピンとこない方は実際にやってみると、よりイメージが掴みやすくなります。ぜび一度試してみてくださいね!

焦点距離と画角からみる「レンズ別」のネットワークカメラ

ここでは「焦点距離」と「画角」から分かる、ネットワークカメラの種類について解説していきます。
これまで説明した焦点距離と画角のおさらいをしつつ、レンズによって異なるネットワークカメラの特徴を見ていきましょう!

短焦点レンズ

ネットワークカメラにおける短焦点レンズは、主に「パノラマカメラ」や「魚眼カメラ」に利用されています。

広範囲の映像を撮影できるので

  • 店舗内の人の動きを監視する。
  • 工場内の従業員の動きを監視する。
  • 駐車場の車の込み具合を監視する。

など、「監視カメラ」の役割として使われることが多いのが特徴です。
短焦点レンズを用いたネットワークカメラは、次の項目からご確認ください!

パノラマカメラ『VIVOTEK CC9381-HV

CC9381-HV 製品画像
VIVOTEKのCC9381-HVは、5メガピクセルの解像度で最大30fpsを提供する赤外線対応魚眼カメラです。
調整可能な25°の傾斜角を備えた180°の水平パノラマビューを特長とするこのカメラは、屋内外の設置に最適です。

画角 焦点距離
180°(水平) / 120°(垂直) / 180°(対角) f = 1.45mm

詳細ページはこちら

 

長焦点(望遠)レンズ

長焦点レンズは、主に「決まった位置や距離の物を識別」する際に利用されています。

ネットワークカメラとしては

  • 車両ナンバーの認識システム(詳細はこちらの記事からご覧ください。)
  • 出入り口を通過する人の顔を認識するシステム。
  • レジでのお札の受け渡しを監視するシステム。
  • 工場などの計器類を監視するシステム。

などとして使われることが多いです。
長距離レンズを用いたネットワークカメラは、次の項目からご確認ください!

長焦点レンズ『AXIS Computar 12.5-50 mm DC-iris

AXIS Computar 製品画像

AXIS Computar 12.5-50 mm DC-irisは、開口絞りを自動で調整できるため、光の当たり具合が変わるようなシーンでも綺麗に映像を撮ることができます。レンズのみでの販売であるため、互換性のあるAXIS製品と使用するように注意してください。

画角 焦点距離
24° , -7°(1/2.9インチの時)
22° , -7° (1/2.7インチの時)
f = 12.5 ~ 50mm

詳細ページはこちら

 

可変(ズーム)レンズ

可変レンズは「カメラ設置後に画角の調整が可能」で「広角でも望遠でも使える」万能さが特徴です。
例えば「駐車場やオフィスなどを広角で監視しつつ、注視したい人物が現れた際にズームして監視する」のように利用されています。

便利である一方コストが高く、個人よりも企業から利用されることが多いです。
可変レンズを用いたネットワークカメラは、次の項目からご確認ください!

屋外用カメラ『VIVOTEK IB9368-HT

IB9368-HT 製品画像

VIVOTEK IB9368-HTは、1920×1080の解像度で30fpsの撮影が可能な、屋外バレット型ネットワークカメラです。VIVOTEK SNVおよびWDR Pro技術を搭載し、高コントラストな環境と低照度環境の両方で高品質の映像を撮影できます。

画角 焦点距離
93 ~ 32°(水平) / 50 ~ 18°(垂直) / 110 ~ 37°(対角) f = 2.8 ~ 12mm

詳細ページはこちら

 

焦点距離を変えて「映像の雰囲気」を変えてみよう!

最初にも説明しましたが、焦点距離とは、被写体にピントを合わせた際の「レンズの中心」から「イメージセンサー」までの距離のこと。

その焦点距離は「映像の雰囲気」や「味」を変える上でとても重要なのです。

たとえば、被写体とネットワークカメラの位置を変えずに焦点距離だけ変えて撮影する「ズーム撮影」では、「何を伝えたいか?」「どれをメインに撮るか?」によって、被写体を変えて映像を撮ることができます。

また、一般的にネットワークカメラでの撮影は、レンズに取り込む光の量を調節する「絞り」の開閉でピントを調節しますが「焦点距離でも背景へのピントの当たり方を変えることができる」のです。

具体的には、下記のように焦点距離を調整して映像を撮ります。

  • 焦点距離が長いほど被写体の背景はボケ、被写体が際立った映像が撮れる。
  • 焦点距離が短くなると全体にピントが合って背景もしっかり写り、奥行きが出て遠近感のある映像になる。

このように、同じ場所で撮影をしても、焦点距離を変えることによって「映像の奥行き感が変わり、映像の雰囲気を変えることができる」のです!
全体がしっかり写る映像を撮りたいのか、特定の被写体を際立たせたいのか、撮りたい映像のイメージによって焦点距離を決めるのがおすすめですよ。

画角とイメージセンサーの関係を知ろう!

画角は焦点距離によって変わることは最初に説明しましたが、イメージセンサーのサイズによっても変わります。

つまり、焦点距離が同じでもイメージセンサーが大きくなると画角は広がり、イメージセンサーが小さくなると画角は狭くなるのです。
この「イメージセンサー」はサイズごとに規格がいくつかあり、メーカーやネットワークカメラの機種によってサイズが微妙に異なります。

例えば一眼レフカメラの場合は「35mmフルサイズ(36mm×24mm)」や「APS-C(23.6mm×15.8mm)」が良く使われている規格です。他にもマイクロフォーサーズ、1インチ、1/3インチなどがあります。
このように、フルサイズとAPS-Cでは「同じ焦点距離のレンズを撮影しても規格が異なる」ので、サイズが変わり画角も変わってしまうのです。

少し難しい話をしましたが、カメラ初心者の方は「肉眼で見る視野に一番近い」と言われている「35mmフルサイズのイメージセンサー+焦点距離50mm」の画角がおすすめです。

まとめ

今回は「焦点距離」と「画角」の意味や、ネットワークカメラにおけるレンズとの関係性について解説してきました。それぞれ、ネットワークカメラのレンズを構成する大切な要素ですが、「セットで考える」ととても簡単にイメージできるので覚えやすかったと思います。

また、今回紹介した「焦点距離」「画角」「イメージセンサー(撮像素子)」を理解すれば、種類の多いレンズの特徴まで把握できるのも嬉しいポイントです!

「ネットワークカメラのレンズを新しくしたい!」という方はもちろん
「これからネットワークカメラを利用していきたい!」という方も、今回の記事を参考にして、自分にピッタリのネットワークカメラやレンズを見つけてくださいね。

今回ご紹介したカメラやレンズ以外にも、システム・ケイではより専門性の高いネットワークカメラを取り扱っています。

ここまで読んで頂いた方なら、画角や撮影範囲の内容もすぐ理解できるので、少しでも興味があればぜひチェックしてみて下さいね!

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