ネットワークカメラの撮影可能範囲と計算方法を知ろう!
システム・ケイの H☆Gです。
ネットワークカメラを設置しようと検討する際に、「1台でどれくらいの範囲が撮影できるの?」
「全体を写したい場合は、何台あればいいの?」なんて悩むことはありませんか?
私はこの仕事をはじめた頃ありました…笑
今日は、1台のネットワークカメラで撮影出来る範囲とその計算方法です。
さらに撮影範囲を考える上で大切な画角についてもご説明しますね!
まず、画角を理解しましょう!
撮影可能範囲を知る上でまず「画角」の理解が必要です。
画角とは、カメラで撮影出来る範囲を角度で表したもので、
水平方向(横方向)=水平画角、垂直方向(縦方向)=垂直画角の2つがあります。
「水平・垂直それぞれの撮影可能範囲」のイメージは下の画像のようになります。
【水平画角と垂直画角】
撮影可能範囲は、画角と撮影対象までの距離で決まる
カメラの画角と撮影可能範囲
画角が広いと撮影可能範囲が広くなり、画角が狭いと撮影可能範囲が狭くなります。
「カメラの画角と撮影可能範囲」のイメージは下の画像のようになります。
撮影対象までの距離と撮影可能範囲
撮影可能範囲は、撮影対象までの距離でも変わります。
近くを撮影すれば、撮影対象は大きく映りますが、撮影できる範囲は狭くなります。
反対に遠くを撮影すれば、撮影対象は小さく映りますが、撮影できる範囲は広くなります。
実際に撮影できる範囲を計算してみよう!
撮影可能範囲は、画角と撮影対象までの距離で決まることが分かりましたね。
では実際に撮影出来る範囲を計算してみましょう!
はじめに水平画角と垂直画角を確認しよう
撮影範囲は、水平(横)、垂直(縦)があります。
画角にも水平画角、垂直画角があるので、それぞれ計算が必要です。
水平画角と垂直画角は、カメラの仕様表などに記載があるので、まずはその数値を確認しましょう。
AXISカメラではレンズ欄に、水平画角、垂直画角がそれぞれ記載されています。
メーカによっては、レンズ欄に記載されている場合や、画角欄に掲載されている場合もありますので、画角の文字を手掛かりに探してください。
海外メーカでは、「Field of View」と記載されていることが多いです。
「Horizontal」が水平、「Vertical」が垂直を表します。(Diagonalは対角画角を表します)
撮影対象までの距離を測ろう
カメラから撮影対象までの距離を測ります。
ドーム型カメラで天井から真下を撮影する場合は、天井から床までを測るのか、
工場等では、作業台やベルトコンベアの位置までなのか、実際に撮影する対象に合わせて距離を測定してくださいね。
三角関数を使って撮影可能範囲を計算しよう
撮影可能範囲の計算方法
画角と撮影対象までの距離、それぞれがどのように撮影可能範囲と関係しているのかがイメージしやすいように画像にしてみました。
黄色の部分を抜き出すと、直角三角形が出来ます。
直角三角形ということは。。。。
そうです!三角関数を使って計算が出来ます!
三角関数は、直角三角形の3辺と直角以外の角度のうち、2つの要素が解れば、残りを全て計算で出すことができます。
今回は、θ(画角の半分)とac(撮影対象までの距離)が分かっているので、bc(撮影可能範囲の半分の距離)を求めるには、タンジェントを使います。
tanθ=bc/ac
計算例
例えば、水平画角90°、垂直画角60°のカメラで5m先を撮影した場合
○水平撮影範囲
角度θ = 水平画角90°÷ 2 = 45°
撮影対象までの距離ac = 5m
公式 tanθ=bc/ac に当てはめて計算します。
tanθは、Windowsの電卓で計算が出来ます。
電卓を起動して、[表示]の[関数電卓]をクリックすると、関数計算のボタンが表示されます。
角度θ(例では、角度θ=45)を入力した後に、[tan]ボタンをクリックします。
tanθ = 1 が計算されました。
計算式に当てはめます。
tanθ=1= bc/ac → 撮影対象までの距離 acが5なので 1= bc/5
bc=1×5=5
撮影可能範囲は、bcの2倍なので、10mとなります。
○垂直撮影範囲
角度θ =垂直画角60°÷ 2 = 30°
撮影対象までの距離ac = 5m
tan(30°) を計算すると、0.5774 が計算されます。
tanθ=0.5774= bc/ac → 撮影対象までの距離 acが5なので 0.5774= bc/5
bc= 0.5774×5 =2.887
撮影可能範囲はbcの2倍なので、5.774mとなります。
tanθの一覧
以下に、角度θとtanθの一覧を記載します。
これを使えば電卓がなくても簡単に計算が出来ます!
撮影可能範囲 = (画角 ÷ 2のtanθ(以下表参照)) × 撮影対象までの距離 × 2
実はこんな便利な撮影可能範囲の計算ツール、あるんです
ここまで、計算方法を書いてきましたが、、、
実は、そんな計算をしなくても、カメラメーカさんのページに計算ツールがあります!
機種を選んで、撮影対象までの距離を入れると計算してくれます。便利ですね。
AXIS
Canon
※画角計算ツールの[2画面表示]をクリックすると撮影可能範囲が表示されます。
撮影可能範囲がわかればカメラの必要台数もわかる!
1台で撮影できる範囲がわかれば、カメラ何台つければいいの?は簡単ですね。
必要台数 = 撮影したい対象範囲 ÷ 撮影可能範囲です。
撮影対象が幅 20m、カメラ1台の水平撮影可能範囲が10mの場合
20 m ÷ 10 m = 2台となります。
設置角度等によって撮影可能範囲は誤差がでます。撮影死角がないようにする場合は、なるべく重なって撮影できるくらいに、余裕を持った台数とすることをお奨めします。
まとめ
今回の「カメラ1台でどれくらいの範囲を撮影できるの?」は冒頭でもお伝えしましたが、
私がネットワークカメラの販売をするようになったときに、最初に疑問に思ったことです。
お客様から図面を頂き、機種の選定と必要台数の見積依頼をされることはよくあります。
今後ネットワークカメラの導入を考えているけど、何台必要なんだろう?そんなときに参考にして頂けると幸いです。
今回は、画角からわかる撮影可能範囲のお話をしましたが、カメラのデータシートには画角以外にも、たくさんの情報が記載されています。
これからも、どの項目を見れば何が分かるのか、色々ご紹介していきますね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。