PoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについて

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基礎知識 —

こんにちは!ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。

前回の記事「PoEとは?PoEの簡単な仕組みとメリット」ではPoEの簡単な概要をお話ししました。
今回は、弊社でご紹介しているネットワークカメラの接続設定にも関係する、PoE機器本体や接続するLANケーブルについてお話ししていきたいと思います。

PoEには給電機器と受電機器がある

前回、PoEはコンセントを使わずにLANケ-ブルで電力を供給できる技術とお話ししましたが、PoEには電力を供給する機器と電力を受ける機器の2種類あります。
※PoE対応のスイッチングハブについては、給電対応・受電対応・給電受電両対応の3種類あるので注意

PoEには給電機器と受電機器がある

以下では主な機器や中継器などの説明をしていきます。

 

給電機器(PSE)について

PSE(Power Sourcing Equipment)といい、電力を供給する側の機器のことです。
給電機器にはPoEスイッチングハブやPoEインジェクターなどがあります。

PoEスイッチングハブ(給電対応)は、複数のPoE対応機器との通信と電力供給が可能なため、オフィスや店舗に複数カメラを設置する場合などに利用されます。
PoEインジェクターは、PoE非対応のスイッチングハブとPoE受電機器の中継に使われるもので、家庭などで1台だけカメラを設置する場合などに利用されます。

給電機器(PSE)について

PoEハブとPoEインジェクターの違いについては「PoEハブとPoEインジェクターの違いについて」をご参照ください。

 

受電機器(PD)について

PD(Powered Device)といい、LANケーブルからの給電を受けコンセントなしで動作する機器のことです。
受電機器には無線アクセスポイント、PoEスプリッター、スイッチングハブ(受電対応)、IP電話機、ネットワークカメラなどがあります。

受電スイッチングハブは、電力の供給ができないため、コンセントからすでに電力供給を受けているパソコンなどをネットワークに接続するために利用します。
PoEスプリッターとは、PoE給電機器とPoE非対応のネットワーク機器の中継に使われるもので、LANケーブルからの通信と電力供給を分割し、PoE給電機器とPoE非対応のネットワークカメラ等の接続することができます。

受電機器(PD)について

 

給電機器(PSE) 受電機器(PD)
PoEスイッチングハブ 無線アクセスポイント
PoEスプリッター
PoEインジェクター スイッチングハブ
IP電話機
ネットワークカメラ

 

給電機器と受電機器はPoEの規格の組み合わせによっては接続できないものがあるので注意が必要です。
給電機器がIEEE802.3af(PoEの規格の一種)の場合、受電機器IEEE802.3afは接続可能ですが、受電機器IEEE802.3atの場合は接続できません。しかし、給電機器がIEEE802.3atの場合は、受電機器IEEE802.3afとIEEE802.3at共に接続可能です。

PoEの規格や電力クラスについて詳しく知りたい方は「PoEの2つの標準規格と電圧・電力クラスのお話し」をご参照ください

また、このような電気を供給する側の機器と受電する側の機器をLANケーブルで繋いて利用するのですが、実はLANケーブルにも種類があり、利用できるLANケーブルと利用できないLANケーブルがあります。

 

PoEで使えるLANケーブルは?

LANケーブルはパソコンやゲーム機などをインターネットに接続するために使われることが多く、種類を特に意識しなくても問題なくインターネットに接続することができますが、PoE機器に使う場合は対応していないLANケーブルもあるのでLANケーブルの種類について知っておく必要があります。

LANケーブルには「カテゴリ」という単位で分かりやすく性能にランク付けがされています。以下では「カテゴリ」について詳しく説明していきます。

LANケーブルの「カテゴリ」とは?

LANケーブルには通信速度を表す「カテゴリ」とよばれる規格があり、お手持ちの機器に合わせて対応するカテゴリのLANケーブルを利用する必要があります。
カテゴリは1~8までありますが、2022年現在販売されているのは主に「カテゴリ5・5e・6・6A・7・7A・8」の7種類です。

LANケーブルにはカテゴリ名が印字されているものがあります。ケーブルを確認するとすぐに見分けることができ、「カテゴリ5」や「CAT.5」などのように表記され、数字が大きくなるほど通信速度が早くなります。

PoEにはカテゴリ5e以上のLANケーブルを使用しよう

アルファベットについては、「どこが規格・承認しているか」という意味合いもあるのですが、長くなるので今回は説明は省きます。
基本的にアルファベットがついているものの方がついていないものよりも性能が良いと覚えておくとよいでしょう。

最大通信速度 伝送帯域
カテゴリ5 100Mbps 100MHz
カテゴリ5e 1Gbps
カテゴリ6 250MHz
カテゴリ6A 10Gbps 500MHz
カテゴリ7 600MHz
カテゴリ7A 1000MHz
カテゴリ8 40Gbps 2000MHz

 

PoEにはカテゴリ5e以上のLANケーブルを使用しよう

LANケーブルのカテゴリについて簡単に説明しましたが、PoEにはLANケーブルのカテゴリ5e以上のケーブルを利用しましょう。
カテゴリによって通信速度や伝送速度は異なるので、使用環境にあったカテゴリを選びましょう。PoEの規格によって対応しているLANケーブルも変わってきますが、現在の規格では5e以上のものを使っていれば問題ありません。

LANケーブルは上位互換性があるので、カテゴリ5e対応機器は5e~8までのどのLANケーブルも利用することができます。
また、カテゴリ5e以上のLANケーブルでも、そもそも「PoEに非対応」というものもあるのでPoEに対応しているかも確認しましょう。

販売店などで購入する場合ですが、カテゴリ5eについては「エンハンスド カテゴリ5」というような表記で販売しているものもあります。「カテゴリ5e」も「エンハンスド カテゴリ5」も同じものですのでどちらを購入しても問題ありません。

 

LANケーブルの単線とより線

ケーブル内の芯線には「単線」と「より線」の2種類あり、この芯線の違いにより通信の安定性や伝送距離が異なります。

単線は1本の芯線に1本の銅線が使用されたケーブルで、通信の安定性が高く伝送距離は100mあります。ケーブルは固く配線の取り回しが少し面倒になります。

より線は1本の芯線に複数の銅線が使用されたケーブルで、単線に比べると通信の安定性は低下し、伝送距離も60~70m程となります。
しかし、家庭での実用レベルで安定性の低下を感じることはほとんど無く、ケーブルは柔らかいため持ち運びや配線の取り回しは楽になります。

芯線の種類は安定性や扱いやすさなどを考慮して必要なものを選びましょう。

 

PoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについてのまとめ

今回は給電受電機器やLANケーブルの種類などをお話してきましたが、特に押さえておきたい点は

  • PoEには給電機器(PSE)と受電機器(PD)があり、組み合わせによっては接続できないものもあるので注意
  • スイッチングハブについては給電対応、受電対応、給電受電両対応、PoE非対応など様々なものがあるので必要に応じて適切なものを選ぶ
  • LANケーブルにはカテゴリという種類があり、PoEの接続に使用するLANケーブルはカテゴリ5e以上のPoE対応のものを使う

 

という点です。組み合わせや種類の違いによりうまく作動しなくなってしますので、良く調べてから適切なものを選びましょう。

PoE機器とカテゴリ5e以上のLANケーブルを用意したらいよいよ接続!といきたいところですが、実はもう一点、接続に関して注意したい部分があります。
それは、PoEの規格です。規格ばかりで嫌になっちゃいますが、大切な部分ですので次の記事で詳しく説明していきたいと思います。
PoEシリーズその3「PoEの2つの標準規格と電圧・電力クラスのお話し」

ネットワーク関係は色々な規格が関わってくるので難しいですね。次回でPoEについての記事は最後です。引き続き複雑な規格のお話しですが、お付き合いいただけると嬉しいです!

弊社の監視カメラシステム「NVR」のサイトでもPoEで接続できるネットワークカメラをご紹介しています。ぜひご覧ください!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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