PoE対応ネットワークカメラの消費電力について

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基礎知識 —

こんにちは!ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。

ネットワークカメラの消費電力についてお話ししていきます。

消費電力は高性能カメラの設置やオフィス、店舗などに複数設置する場合などには特に重要なので、不具合防止やコスト削減のためにもしっかり理解しておきましょう。

PoE対応ネットワークカメラの消費電力について

ネットワークカメラの電力消費

ネットワークカメラには、映像データの作成やネットワーク通信を行う基本機能があります。この基本機能で一定の電力を消費しますが、暗い場所での撮影に必要な赤外線照射や幅広い気温へ適応するためのファン・ヒーターなど、付加機能を搭載したネットワークカメラはその分だけ消費電力が増加します。

消費電力比較

消費電力は電気代だけでなくネットワークカメラへ電力を供給するPoEハブにも影響します。

ここでは屋外対応有無(ヒーター内蔵有無)と赤外線の有無により、どれだけ消費電力が異なるか調べ、カメラ導入の際の注意点などをお話ししていきます。

 

標準電力と最大電力

ネットワークカメラのスペックシートに消費電力の記載がありますが、標準電力と最大電力の2種類記載されています。(最大電力のみ記載のカメラもあります)

標準消費電力xxW、最大消費電力xxW

カメラにある付加機能の稼働状況によって電力消費が変化するため、標準電力(付加機能非稼働時)と最大電力(付加機能稼働時)の記載があります。PoEハブの供給電力の超過による不具合を防ぐため、電力計算をする際は最大電力で計算しましょう。

 

屋外対応と赤外線対応による消費電力比較

AXIS P3265というカメラを例に、屋外対応と赤外線対応による消費電力差を調べてみます。このネットワークカメラは、屋外対応有無と赤外線対応有無の組み合わせで3種類のラインナップがあります。(型番のEが屋外対応、Lが赤外線対応です。ちなみにVは耐衝撃です。詳細はネットワークカメラの命名規則について〜Axis編〜を参照ください)

項番 型番 標準電力 最大電力 屋外対応 赤外線対応
1 P3265-V 3.0W 5.1W
2 P3265-LV 4.8W 8.9W
3 P3225-LVE 4.8W 10.6W

 

上記カメラの機能比較表です。
■AXISP3265シリーズの比較表

※相違項目が色付けされています。

「動作温度(℃)」は屋内用の動作温度が0~50℃に対し、屋外用は-40~50℃です。この屋外用カメラにはヒーターが内蔵されているため、動作温度範囲が広くなっています(すべての屋外用カメラがヒーター内蔵とは限りません)。

 

屋外対応および赤外線の消費電力

屋外対応(ヒーター稼働時)や赤外線対応(赤外線照射時)ではそれぞれどのくらい消費電力が増えるのか計算してみました。
屋外対応と赤外線対応による消費電力比較」にある表の最大電力を比較します。ヒーターは項番2と3を、赤外線は項番1と2を比較することで計算できます。

  • ヒーター電力  10.6W-8.9W=1.7W
  • 赤外線電力   8.9W-5.1W=3.8W

屋外対応(ヒーター稼働時)の消費電力は1.7W、赤外線照射時の消費電力は3.8Wと計算できました。今回の赤外線対応カメラの場合、赤外線の消費電力は最大電力の約4割と多くの割合を占めていることがわかります。

PoEの供給電力

カメラへ電力を供給するPoEの規格について見ていきましょう。

PoEの規格は3種類あり、それぞれ供給電力やケーブルの種類などが異なります。カメラの合計消費電力はこの最大供給電力を超えないようにする必要があります。

規格 PoE
(IEEE802.3af)
PoE+
(IEEE802.3at)
PoE++
(IEEE802.3bt)
最大供給電力 15.4W 30W 90W
ケーブルの種類 カテゴリ3以上 カテゴリ5e以上 カテゴリ5e以上
ツイストペア使用数 2ペア 2ペア 4ペア
最大伝送距離 100m 100m 100m

 

右側の規格ほど上位互換になりますが値段も高価なため、導入するPoE対応機器の消費電力によって最適な物を選びましょう。
また、高性能カメラの場合など1つのカメラで約20Wの電力消費するものもあるので「電力が足りない!」なんてことの無いように気を付けましょう。
PoEについては「PoEとはなにか?PoEの簡単な仕組みとメリット」をご参照ください。
LANケーブルの種類については「PoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについて」をご参照ください。

 

PoEハブの最大供給電力に注意

ネットワークカメラは赤外線等の付加機能により消費電力が変化していきます。付加機能が稼働していない時は問題なくても、付加機能が稼働し消費電力が増えるとPoEハブの最大供給電力を超えてしまいカメラが正常に稼働しなくなる場合があります。

例えば、最大供給電力が46Wの8ポートPoEハブに7台のP3265-LV (赤外線対応、標準4.8W、最大8.9W)を接続した場合、消費電力は赤外線を照射していない時は33.6W(4.8W×7台)、夜になり赤外線照射すると62.3W(8.9W×7台)となります。 この場合、昼間はPoEハブの最大供給電力(46W)を超えないため正常に稼働しますが、夜間の消費電力はPoEハブの最大供給電力(46W)を超えてしまうため、十分な電力供給を受けられずカメラが正常に稼働しません。

夜間に一部のカメラ映像が閲覧できない、一部のカメラの赤外線が照射されないような現象が発生している場合は、PoEハブの最大供給電力をご確認ください。

赤外線 最大消費電力 PoE最大供給電力
非照射(オフ) 33.6W(4.8W×7台) 46W以内
照射(オン) 62.3W(8.9W×7台) 46Wオーバー

 

PoEハブの供給電力の超過による不具合を防ぐため、カメラの設置や増設の際は最大消費電力を参照しましょう。

 

消費電力やカメラ数に合わせてPoEハブを選ぼう

ネットワークカメラの消費電力や数によってPoEハブの必要供給電力は変わってきます。最大供給電力が多いほど値段も高価になるので電力計算をして最適な機器を選びましょう。

また、1つのPoEハブに複数のカメラを接続する際は最大伝送距離についても考えなくてはいけません。 PoE規格では100mまで給電できますが、これはLANの規格であるイーサネットの最長伝送距離が100mのためであり、 長距離伝送で使われる芯線が1本の「単線」の信号線を使ったLANケーブルの場合です。芯線の銅線がよってある一般的な「より線」の信号線を使ったLANケーブルの場合の給電距離は60~70m程度になります。
この給電距離を考えると、複数のカメラを設置する場合、カメラの設置位置によってはPoEハブの複数設置やLANケーブル通信を延長するPoEエクステンダーの導入を行う必要があります。

以下のブログではPoEハブのポート数や供給電力についてなど詳しく説明しております。ご参照ください。
■PoEハブとカメラの選び方での注意点知ってますか?
■PoEパススルーと給電方式

 

まとめ

ネットワークカメラは付加機能有無(屋外対応、赤外線等)により、消費電力が異なります。カメラをご購入の際には、コスト削減のためにも、PoEハブの供給電力とカメラの消費電力や設置場所、LANケーブルの配線など様々な観点から最適な物を選びましょう。

消費電力に関して、赤外線などの付加機能の消費電力は少なくなく供給電力に大きく影響するのでスペックシートに標準電力と最大電力の記載がある場合は、最大電力で電力計算してください。電力不足による不具合防止になります。

また、夜間や冬季など一部の時間や時期に一部のカメラが正常に機能しない場合は、カメラの最大電力とPoEハブの最大供給電力をご確認ください。

以下の記事でもPoEの基礎から詳細な内容まで幅広くお話をしていますので、ぜひご覧ください!
■「PoEとはなにか?PoEの簡単な仕組みとメリット」
■「PoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについて」
■「PoEハブとPoEインジェクターの違いについて」
■「PoEの2つの標準規格と電圧・電力クラスのお話し。」
■「PoEハブとカメラの選び方での注意点知ってますか?」

 

また、記事の内容についてわからない部分があった方や、監視カメラ・ネットワークカメラの導入を検討されている方は、システム・ケイにお気軽にご相談ください!