防犯カメラ設置時の注意点!法律違反になることも!?

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基礎知識 —

※この記事は、2022/11/4に内容を更新しました。

こんにちは!
ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。

防犯や監視、見守りなどで幅広く利用されている防犯カメラですが、設置する場所や利用方法によってはプライバシーを侵害してしまう可能性があります。

今回は、防犯カメラを設置している方や防犯カメラの設置を検討している方に読んでほしい、気を付けなければならないことや法律違反となる例をまとめました。
お客様からの苦情や法律違反を起こさないためにも、防犯カメラの設置基準を一緒に確認していきましょう!

防犯カメラ設置時の注意点

防犯カメラと個人情報

近年の防犯カメラは映像の解像度も大幅に向上しています。
そのため、設置時の目的とは関係のない、必要以上の情報まで映り込んでしまう可能性もあります。

例えばビルやお店の防犯のために、エントランスから外に向けて防犯カメラを設置した場合、最高画質であればエントランス内にいる人はもちろん、店の外を歩く人の顔まではっきりと映ってしまうでしょう。

はっきりと映ってしまう、つまり特定の個人を識別することができる映像は「個人情報保護法」で規定される個人情報にあたります。
そのため、法律に準じた正しい取り扱いや管理を行わないと、プライバシーの侵害になってしまうので注意が必要となります。

利用目的を明示しよう!

防犯カメラを利用する際、設置する側は防犯カメラで撮影しているということを公表しなければなりません。
経済産業省によるガイドラインでは、防犯カメラの設置については次のように示されています。

  • 防犯カメラによって特定の個人が識別できる映像を撮影する場合は、原則として個人情報の利用目的を本人に通知・公表しなくてはいけない
  • 個人情報の利用目的が明らかであると認められる場合は、利用目的の公表の必要はない
  • 一般的に防犯目的のための防犯カメラ設置は利用目的が明らかと認められ、利用目的の公表の必要はないとされる

防犯のため、工場内の作業監視のためなど使用目的がはっきりしている場合は利用目的の公表は不要とされていますが、防犯以外の目的で映像を使用しようとしている場合にはその利用目的を公表する必要があります。

例えば…

  • 顔認識システムと組み合わせて施設の入退室管理を行う
  • 各部屋にカメラを設置し状況を確認する
  • 河川や堤防など遠隔地の状況確認のために設置する

このような場合は監視カメラに映り込むであろう相手に対して「現在、監視カメラによる撮影を行っています」と張り紙などでしっかりと伝えることが必要です。

また、カメラを防犯目的だけでなく、マーケティング目的でも利用する場合は、店頭での通知だけでなく、カメラ付近に商用目的で利用している旨を記載するなどの工夫が必要とされています。

個人情報の処理方法やプライバシーポリシー、問い合わせ先などを、WebサイトのURLやQRコードといった形で店舗の入り口やカメラ設置場所付近に明示できると親切かもしれませんね。

ガイドラインは市町村ごとに定められている!~札幌市の場合~

今の時代、買い物をしたり、外を歩いているだけでも自分が気づかないうちにたくさんの防犯カメラに映ります。
そのおかげで犯罪への抑止力や、実際に犯罪が起こった時の証拠となりうることも多いのですが、一方でプライバシーに対する不安を感じる人も少なくありません。

札幌市の市民アンケートによると、大多数の市民は防犯カメラの必要性は認めているものの、その約6割はプライバシー保護に関する懸念を抱いていることがわかりました。
また防犯カメラの実態調査により、カメラを設置している事業者の半数以上が設置運用基準を設けていないこともわかりました。

防犯カメラの設置基準は市町村ごとにガイドラインがあるため、実際に防犯カメラを設置する際は、各自治体のサイトを確認する必要があります。
今回は札幌市のガイドラインを例に紹介します。
(参考:札幌市の防犯カメラ・ガイドライン

札幌市のガイドラインではこのように示されています。

  • 設置目的を明確にし、撮影範囲は目的に必要な範囲に限ること
  • 必要に応じて防犯カメラの管理運用責任者を指定し、適切な管理運営を行うこと
  • 防犯カメラを設置していることをわかりやすく表示すること
  • 画像の記録装置を一般の者が出入りできない場所に設置すること
  • 画像の保存期間を一ヶ月以内とし、保存期間を経過した画像は速やかに消去すること
  • 例外を除き、画像や情報の漏洩及び当該目的の範囲を超えた利用や提供の禁止
  • 苦情があった場合適切な処理を行うこと
  • 設置者は防犯カメラの設置基準を作成し、遵守すること

ガイドラインの対象となるのは下記の3つの要件を全て満たすカメラです。

①不特定多数の人が利用する施設や場所に継続的に設置されているカメラ
②犯罪の予防を目的として設置するカメラ
③画像記録機能を備えているカメラ

①に関して、「不特定多数の者が利用する施設や場所」とは、

  • 道路
  • 金融機関
  • スーパー、コンビニ
  • ゲームセンター
  • 商店街
  • ホテル、旅館

などです。こういった場所に継続的に設置をする場合は対象となります。
アパートやマンションといった共同住宅については対象外、イベントなどで不特定多数の者が利用する場合でもそれが一時的なものであれば対象外となります。

②に関して、施設管理、事故防止、防火・防災という目的のカメラであっても、設置理由に犯罪の予防という目的も含んでいる場合は、このガイドラインの対象となります。

これらはあくまで札幌市が策定したガイドラインですので、地方自治体ごとのガイドラインをしっかりと確認しましょう。

プライバシーを侵害した事例

これまで法律やガイドラインに基づいた防犯カメラに関する注意点を挙げてきましたが、ここで実際にプライバシーの侵害となった事例を2つ紹介します。

事例① ~共用部分への設置~

原告と被告が共有する区分所有建物の共用部分の屋外にカメラ4台が設置されていました。
これをプライバシーの侵害であると原告は訴えています。

撤去を求められている防犯カメラのうち3台は防犯のみが目的であり、プライバシーの侵害ではないと判決が出ました。
しかし原告の玄関先が映る1台のカメラが

本件カメラ1の撮影が、常に行われており、原告らの外出や帰宅等という日常生活が常に把握されるという原告らのプライバシー侵害としては看過できない結果となっていること、他方、被告は、本件カメラ1の設置について、被告所有建物の1階居室の南側窓とその窓付近を撮影して防犯を図るものであるとするが、窓の防犯対策としては二重鍵を設置するなどのその他の代替手段がないわけではないこと、その他上記の種々の事情を考慮すると、本件カメラ1の設置及びこれによる撮影に伴う原告らのプライバシーの侵害は社会生活上受忍すべき限度を超えているというべきである。(東京地方裁判所平成27年11月5日判決)

としてカメラの撤去と、原告1人あたり10万円の慰謝料が認められるという結果になりました。

事例② ~家同士のトラブル~

私道をはさんで隣接する家同士が、私道の歩行や自転車利用時などの些細な騒音を原因とする感情のもつれから近隣トラブルとなりました。
その後片方の家が複数のテレビカメラを設置したことで対立が悪化し、テレビカメラ設置がプライバシーの侵害にあたるかどうかが争いになりました。

プライバシーの侵害について裁判所は、私道は原告宅の敷地ではないものの、原告宅の延長として日常生活に密着した空間であり、プライバシーの保護をすることは問題ないと判断しました。
また、防犯目的で設置したという被告の主張については、その要素があったとしても原告のプライバシーを侵害するような継続的な監視は、容認できる程度を超えているとし、プライバシーの侵害などを理由として計90万円の支払いを命じました。

原告が請求したカメラ撤去に関しては、

被告らによる本件カメラの設置は、原告らのプライバシーを侵害するものとして違法であるから、原告らは、被告らに対し、プライバシーの権利に基づく妨害排除請求として、本件カメラの撤去を求めることができると解すべきである。

原告らと被告らの間のトラブルの経緯等に照らすならば、被告らは、本件カメラを撤去した後、新たなテレビカメラを設置して、原告宅や本件私道部分を撮影し、原告らのプライバシーを侵害する具体的危険性があると認められるから、原告らは、被告らに対し、プライバシーの権利に基づく妨害予防請求として、今後、原告宅や本件私道部分が撮影範囲に入るテレビカメラを設置することの禁止を求めることもできるというべきである。(東京地方裁判所平成21年5月11日判決)

として、新たなテレビカメラの設置を禁止しました。

まとめ

  • 現代生活の中に広く浸透している防犯監視カメラですが、正しい設置や管理をしないとプライバシーを侵害してしまう恐れがあります。特定の個人を識別できるほど鮮明に映った映像は「個人情報保護法」で規定される個人情報にあたり、法律に沿った適正な取り扱いや管理が必要です。
  • 防犯カメラを設置する場合には利用目的を明確にし、それがきちんと伝わる形で公表しなくてはいけません。一般的に防犯目的であることが明らかである時には告知が不要な場合もあります。
  • 市民のプライバシー保護に配慮して、防犯カメラの設置基準は市町村ごとに条例やガイドラインが策定されています。防犯カメラを設置する企業には設置基準を守り適正な管理運用をすることが求められます。

これらをしっかりと意識して、トラブルへ発展することを避けていきたいですね!

防犯カメラの設置基準について、気を付けるべきことが多いため難しく感じられた方もいるかもしれません。
ご相談承りますので、システム・ケイまでぜひご気軽にお問い合わせください!

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