PoEパススルーと給電方式
こんにちは!システム・ケイ昭和生まれのヨッシーです。
PoEシリーズのその4です。
「PoEパススルー」、「給電方式」についてお話しします。
過去のブログは以下をご参照下さい。
・PoEとはなにか?PoEの簡単な仕組みのお話し。
・PoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについて
・PoEの2つの標準規格と電圧・電力クラスのお話し。
PoEパススルーとは
PoEには給電機器と受電機器があるとPoEの給電(PSE)・受電(PD)機器とLANケーブルについてでお話ししていましたが、PoEパススルーは給電と受電の両方の機能を持ったPoE機器です。つまり受電した電力を中継して給電します。特長としては、機器を電源コンセントに接続する必要がありません(電源不要)。
機器接続例
以下のような接続構成になります。中央がPoEパススルー機器です。左のPoE対応スイッチングハブが電源に接続してポートから給電しています。その電力をPoEパススルー機器が中継してネットワークカメラに給電しています。
商品分類名
PoEパススルーの機能を持った機器は、メーカーや商品により呼び方が違います。主だったものとして、以下の呼び方があります。Web検索する際にご利用ください。
- PoEエクステンダー
- PoE延長器
- PoEリピーター
- PoEパススルースイッチングハブ
- PoEパススルー延長器
- 受電給電スイッチ
受電ポートと給電ポート
PoEパススルー機器は、受電ポートと給電ポートがそれぞれ指定されています。ポートが複数ある機器や、LANポートがある機器もあります。受電1ポート、給電1ポートだけの機器をPoEエクステンダーと呼ぶ商品が多いです。
どこで使うの?
例えば、150m先にネットワークカメラを設置する場合など、LANケーブルの長さが100mを超える際に中継装置として設置します(機器接続例のPoE対応スイッチングハブからネットワークカメラの距離が150mあるとお考えください)。
スイッチングハブで中継すると中継場所に電源が必要ですが、PoEパススルー機器で中継すると、電源なしで接続できます。
注意点は?
電力およびデータを中継する機器のため、給電可能な電力は受電した電力より小さくなります。また、受電する電力と給電する電力の組み合わせは製品毎に決まっています。
受電と給電が共に1ポートの場合の、受電側の規格と給電可能なPoEクラスとの対応は以下のようになります。
(製品毎に組み合わせが異なりますので、参考情報としてご確認ください)
受電側 | 給電側 | 備考 | |
---|---|---|---|
規格 | 電力 | PoEクラス | |
IEEE802.3af | 15.4W | 1,2 | IEEE802.3af受電では給電できない機器もあります |
IEEE802.3at | 30W | 0,1,2,3 | IEEE802.3at非対応機器はIEEE802.3afと同じ |
IEEE802.3at(30W)を受電して、PoEクラス1,2を2ポート給電できる機器もあります。ご購入の際は、受電と給電の組み合わせを製品ページにてご確認ください。
給電方式
次に、給電方式について説明します。PoEの給電方式は2種類あります。LANケーブルは8本のピンで構成されますが、10BaseTと100BaseTXの通信が利用しているピン(1,2,3,6)に電流を重畳させる方式「オルタナティブA(TypeA)」と、データが利用していないピン(4,5,7,8)に電流を流す方式「オルタナティブB(TypeB)」があります。
※1000BaseTは1~8ピンすべて通信に利用します。
受電機器(PD)は、オルタナティブA、B両方の給電方式に対応するように設計されているため、給電方式を気にせずに利用できます。(IEEE802.3afまたはIEEE802.3atに対応している機器)
まとめ
- PoEで受電した電力を中継して給電できる機能をPoEパススルーといいます。
- LANケーブルを100m以上伸ばす時に、中継機器として利用します。
- PoEパススルー機能を持った商品は、メーカーにより商品分類名が異なり、主な名称として「PoEエクステンダー」,「PoE延長器」,「PoEリピーター」,「PoEパススルースイッチングハブ」,「PoEパススルー延長器」,「受電給電スイッチ」と呼ばれています。
- PoEの給電方式は2種類ありますが、受電機器(PD)がどちらの方式にも対応しているので、給電方式を気にする必要はございません。